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Making of CAR GRAPHIC

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2011.03.04

ジュネーヴショー取材終了

怒濤のようなジュネーヴ・モーターショーから帰国しました。主にドイツとイタリアから注目のニューモデルが連発されたため、会場は大混乱と表現するに相応しい状況になっていました。ピニンファリーナやフェラーリを始めいくつかのインタビューを含むショーレポートは4月1日発売号に掲載です。

街を歩いていると、いたるところでショーのポスターが見られ、(静かですが)ちょっとしたお祭り気分でした。バス広告や大型看板は半ば当たり前としても、このような町の小さな模型店の入り口にあるポスターは、「みんなで盛り上げよう」という気持ちが伝わってくるようで、思わず写真を撮ってしまいました。

ジュネーブといえばレマン湖と大噴水。透明度の高い水の上を大量の水鳥たちが泳いでおり、しかも人が覗き込むとエサをくれると思うのか、何羽か水から上がって寄ってくるのがかわいらしく、鳥好きの筆者には堪えられないものがありました。

機材を抱えて電車で移動するのはほぼ無理なので、いつもショー取材ではレンタカーを借ります。今回、相乗りさせてもらったCG TV号はフォード・フィエスタ(ガソリンMT)でした。レンタカーに何が当たるかはちょっとした旅の楽しみですよね。これまで取材班はトヨタ・アイゴなどに当たって喜んだことがあった一方で、どこで借りてもずっとフィアット・プントばかりが続いたこともありました。あまりに連続だったために、日本で取材のためにプントを借り出すと妙に思い出深く感じられた時期も……。

さてそのフィエスタに乗り、どこで夕飯を頂くか迷っていたところ、何年か前に元デザイナーの児玉さんに連れて行ってもらった店があるのを思い出しました。ジュネーヴショーのたびにデザイナー仲間で集まる店とのこと。飲み物とデザートが選べるほかは、メニューはサラダ、フライドポテト、ステーキの1種類だけ(着席すると何を飲むかしか聞かれません)という潔いお店です。いつも混雑していて、ひしめき合うようにして座って、忙しなく運ばれてくる料理をとにかく食べるという感じです。80年前に開発され、いまだに類似品が出ていないと(パンフレットで声高に)主張されている特製ハーブ入りバターソースが絶品なのでありました。

さて、冒頭に「怒濤のような」と書きましたが、ショー会場はいつにも増して戦場のようでした。人気車種はだいたい常にこのような状態。日本人的に順番を待っていては、どんどん割り込まれて永遠に自分の番にはなりません……。いつまでたってもまともに撮影できず憤慨しているカメラマン多数、耐えかねて実力行使に出る人も多数。車が展示されている回転台にしても、写真カメラマンは係員に「止めてくれ!」と言い、映像カメラマンは「もっと早く回せ!」と割って入り……。
出来上がった写真で見るとショーリポートは華やかというイメージがありますが、実際それを取材している現場は小さな意地の張り合いの連続です。フェラーリ「FF」のリアシートに座って頭上と膝前のスペースを確かめていると、シートをガバっと倒されていかにも「早く代われ」と言わんばかり視線を投げかけられたり。座ってまだ3秒しか経っていないのに!そこでもう一度シートを元に戻し、悠々とメモを取れるかどうかがポイントだったりします。
今回は飛行機の都合もあり、プレスデー(報道向け解放日)に続いて一般開放日にも行くことができました。平日にもかかわらず開場前から老若男女が押し掛けているのはなぜ? 意外だったのは、エコ関係の展示にそれほど人が集まらないこと。ディーゼルに興味はあっても、そこから先はハイブリッドくらいが限界のようで、そのまた先はまだ関係がないといった様子でした。もうひとつ意外だったと言えば、ニューモデルの大半がクライスラーと兄弟車になってしまったランチアへの反応です。「名前だけフラヴィアだのテーマだのと言われてもね」と冷ややかかと思いきや、案外と受け入れられているようで、ブースは盛況でした。見極めに来ているのかもしれませんが……。

photo&text:CGテスト・グループ

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